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住まいの学び場サムネ

お部屋の壁が壊せないマンションとは?

2023.01.25

築年数が古いマンションなどでは、それぞれの部屋が細かく間仕切られていて、窮屈さを感じることがあります。

特に天井高が低いようなマンションだと、余計に狭く感じてしまいます。

マンションの天井高は2m40cmくらいが標準的な高さとなりますが、築古のマンションの場合は天井高が2m20cmしかないような物件や、天井の梁(はり)が頭をぶつけてしまうくらい低いような物件も存在します。

そんな窮屈さを感じるマンションでも、リノベーションでお部屋の間の壁を撤去すれば、広々としたLDKを実現することができます。

お部屋の間の壁を撤去すれば広々とした空間を作ることができます。

たとえば、築20年以上のファミリータイプのマンションでは、リビングの隣に和室がある間取りが多いですが、上図のようにリビングと和室の間の壁を撤去して、LDKを大きく広げるといったイメージです。

しかしながら、マンションの構造によっては、お部屋の中に “撤去することのできない壁” が存在するので、注意が必要です。

マンションの構造には2種類ある

マンションの構造は2種類ある

マンションは鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)で作られることがほとんどですが、じつは構造には大きく分けて2種類あります。

◎ ラーメン構造

一つ目が「ラーメン構造」のマンションです。ラーメンといっても、あの食べるラーメンではなく、ドイツ語で「枠組み」などといった意味があります。

ラーメン構造は垂直の柱と水平の梁で建物を支える構造で、一般的に5階建て以上の背の高いマンションでは、この「ラーメン構造」が多くなります。

◎ 壁式構造

もう一つが「壁式構造」のマンションです。

ラーメン構造とは異なり、名前の通り、柱や梁ではなく、壁自体で建物を支える構造のことをいい、4階建て以下などの低層マンションで採用されることの多い構造です。

壁式構造のマンションの場合、室内に建物の構造を支えるコンクリートの壁=「耐力壁」があるので注意が必要になってきます。

マンションの場合、コンクリートの壁はリノベーションの工事などで絶対に壊すことができません。マンションの耐震性などに影響が出てきてしまうからです。

この「耐力壁」こそが “撤去することのできない壁” の正体なのです。

ただし、ラーメン構造だからといって、室内に絶対に耐力壁が無いとは言い切れません。
ラーメン構造のマンションであっても、まれに室内に耐力壁があることがあるので注意が必要です。

耐力壁の見分け方

どの壁が耐力壁(壊せない壁)なのか、見極める方法についてお伝えします。

まずは間取り図を見てみましょう。

間取りの四隅などに四角い柱(上図の赤丸の部分)が表記されている場合は「ラーメン構造」 なので、室内のほとんどの壁が撤去できると思っていただいて大丈夫です。

一方で、間取りの四隅に四角い柱が無い場合は「壁式構造」の可能性が高いです。

壁式構造の場合、お部屋の中央付近に耐力壁があることが多くなります。

上図の壁式構造の物件の場合、赤色になっている壁は撤去することができません。

つまり、和室を撤去して大きなLDKを作ろうと思っても、一部、コンクリートの壁が残ってしまったり、お風呂やトイレ、洗面所がコンクリートの壁で挟まれてしまっているので、お風呂のサイズを大きくしたり、洗面所を広げたりすることが難しくなってしまいます。

分譲時のパンフレットに掲載されている図面を確認すれば、コンクリートの壁の位置を把握することができます。

新築分譲時のパンフレットの図面など、詳細な間取り図があれば、耐力壁はコンクリートの壁としてわかるように表記されているので判別ができるのですが、SUUMO等のポータルサイトに掲載されている間取り図や、不動産会社から渡される資料に掲載されているような間取り図ではなかなか判断することができません

間取り図で把握できない場合は、現地で確認する方法もあります。

内見した際に、壁を手で叩いてみて、「コツコツ」といった石のような硬い感触があれば耐力壁と思った方がよいでしょう。

一方で、「ゴンゴン」と響くような感触がある場合は撤去できる可能性が高いです。

また、お部屋の間の壁が20cm以上あるような分厚い壁の場合は耐力壁の可能性が高く、逆に10cm程度であれば、壊せる壁である可能性が高いです。

最後はプロに確認を

間取り図と、実際に手で叩くことで、ある程度は耐力壁かどうかを判断することが可能ですが、最後は不動産会社やリフォーム会社などのプロに確認してもらうのが無難です。

竣工図はこんな感じです。

最も確実な方法は、マンションの管理人室などで保管されている新築当初の「設計図書(竣工図)」を確認することです。

もしリノベーションなどをする予定であれば、リフォーム会社の設計士さんなどが、管理人さんや管理組合に許可をいただいて、閲覧させていただき、細かい構造を確認することになります。

壁式構造でも素敵な空間は作れる

壁が撤去できないからといって諦めることはありません。

リノベーションの工夫で、耐力壁をうまく活用したレイアウトにすることはできます。

ラーメン構造よりも低層の壁式構造のマンションの方が耐震強度が高いともいわれていますし、お部屋の壁や天井の隅に柱や梁のボコボコした出っぱりが出てこないので、デザイン的にも優れていたりします。

もし気に入ったマンションが壁式構造だった場合でも諦めずに、一度リフォーム会社のプロにレイアウトやデザインを相談してみましょう。